昭和へのノスタルジー

 

 昭和時代について、世代によって異なる思いがあることは明らかである。昭和22年から昭和24年にかけての世代は「団塊の世代」と呼ばれ、高齢者人口が最も高い世代である。昭和を懐かしむ街、横丁の再現、資料館、記念館などが日本各地に作られていった。現在では全国数十カ所に分布している。その中で、東京九段南には昭和10年~昭和30年頃までの戦中・戦後の国民の苦労した体験を知るために設置された「昭和館」がある。ここには収集した展示物、文献資料、映像資料などがそろっている。昭和へのノスタルジーというより、国民の苦労した経験を伝える国立の博物館である。

愛知県知立市歴史民俗資料館の企画展パンフレット

 昭和へのノスタルジーを感じ、体験したい方は、下記のレトロの施設、ミュージアムなどを訪問することをお勧めする。

昭和の街並みを再現した大分県豊後高田市の「豊後高田昭和の町」が、年間40万人の観光客が訪れる観光地として知られている。過疎化した市、衰退した商店街を活性化するために肌で体感できる「昭和」を再興したのである。参加している店舗は60軒、これに5のレトロミュージアムが設置されている。昭和の魅力に溢れる町である。

 大分県が遠いと思う方は、岐阜県高山市の高山昭和館と飛騨高山レトロミュージアムがある。高山市は小京都と呼ばれ、前者は館内に昭和30年代の街並みが再現され、展示物も多く、昭和を体感できる。後者も前者よりも狭いが、同じく昭和を体感できる。埼玉県川越市にある「菓子屋横丁」は20数軒の駄菓子屋が下町の駄菓子への郷愁を誘っている。また、川越には江戸時代の面影を残した蔵造(耐火建築)の町並みが残り、観光客を集めている。東京の葛飾柴又の「寅さん記念館」&「山田洋次ミュージアム」も寅さん映画の世界だけでなく寅さんが放浪した昭和の時代に浸ることができる。

 いずれにしても、日本各地に作られた昭和をテーマにした施設で、当時の看板、雑貨、おもちゃ、凧、メンコ、駄菓子、レコード、ポスター、文具、制服、まんが本、少年少女雑誌、TVヒーロー、生活用品、電化製品などを見たり、触ったり、読んだりして、過ぎし昭和を懐かしむことができる。

鶴岡雅義とトリオ・ロス・カバジェロス ポリドールレコードLP

  現在、少なくない市町村に「歴史民俗資料館」が設置され、郷土の歴史資料の収集、保存、が行われ、「昭和」に関する企画展示も随所で開催されている。

 私の手元に残された昭和20年代、30年代の資料としては、写真、母子手帳、卒業証書、学級委員任命書、通信簿、数枚のレコード、少年ケニアのハガキ、TVドラマ『怪傑ハリマオ』(昭和34年放映)の凧だけである。

怪傑ハリマオと拳銃少年太郎が描かれた凧