2024-01-01から1年間の記事一覧

南洋移民とハリマオ その実像と虚像

江戸幕府の初期に行われた朱印船貿易はベトナム、タイ、フィリピンとの交易が中心であったが、マラヤ半島にあったマラッカ王国との交易も少ないが行われていた。日本人町については確認されていない。 明治に入り、外南洋であった東南アジアにも日本人の移民…

尖閣諸島を理解するために- 手元にある資料の紹介-

尖閣諸島を学ぶためには、以下の資料が役に立つ。これらは、私の手元にある資料であり、数は多くないがネット資料も含めて、尖閣諸島を理解するための工具になる。 尖閣諸島に詳しい写真家の山本皓一氏は次のように述べている。「もし尖閣諸島が大事と考える…

鈴木経勲の『南洋風物誌』について

地平線一面に拡がった青い海、南洋の動物、植物、豊富な果物、夕陽と島々の姿、密林、未知の現地の人々、マングローブの林。130年以上前の日本にも南洋の自然や風物に関心と興味を持った人々がいたことは間違いない。 鈴木経勲は生涯8度の航海に出かけ、太平…

『南洋探検実記』と探検家鈴木経勲について

最近、南洋に関する気になっていた本を二冊、比較的割安の価格で、手に入れた。一冊目は鈴木経勲(1854~1938)の『南洋探検実記』である。この本は明治25年(1892)、昭和17年(1942)、昭和18年(1943)、昭和55年(1980)、昭和58年(1983)に出版されている。この本は…

最近読んだ南洋群島に関する二冊の本

オンライン書店の「日本の古本屋」で「南洋」を検索すると、なんと4,613件の在庫が確認された。南洋に関する書籍などが売り出されている。絵葉書、写真帖、雑誌、年鑑、統計書、風俗慣習、文化・宗教、地理、教育、資源、原住民族、南洋群島の発展概況、農業…

国産コーヒーと南洋群島

日本人で初めてコーヒーを飲んだのは、江戸時代の長崎出島のオランダ語通詞であったと言われている。明治の文明開化ともにコーヒー飲用が徐々に広まっていった。海外からの輸入に依っていたコーヒーを日本で生産しようとしたのは、榎本武揚であった。榎本は…

江戸川乱歩の『新寶島』に見る南洋

「冒険ダン吉」の連載が終わった後、『少年倶楽部』誌上では、江戸川乱歩の少年向けの作品「新寶島」(1940年)の連載が始まった。江戸川乱歩は既に『怪人二十面相』(1936年、昭和11年)『少年探偵団』(1937年、昭和12年)などの子供向け作品を発表し、人気作家…

南洋群島への夢:冒険ダン吉と森小弁

『冒険ダン吉』は子どものころ復刻版を読んだ記憶がある。 冒険ダン吉(3) 少年倶楽部文庫 講談社 島田啓三 1976 この他『ロビンソン・クルーソー漂流記』『宝島』『十五少年漂流記』『少年ケニア』などを熱心に読んだ記憶もある。 さて、『冒険ダン吉』は、…

伊藤若冲の弟白歳の作品

今日は久しぶりに四条の錦市場と新京極通りに出かけた。ここから歩いて5分ほどの裏寺町通りにある宝蔵寺の寺宝展を見学した。 宝蔵寺の正面 宝蔵寺は江戸中期に活躍した絵師伊藤若冲家の菩提寺として知られている。昨日から今月12日まで寺宝展が開かれ、若冲…

中国政治史研究者渡辺龍策先生への思い出

渡辺龍策先生との出会いは、筆者が20代中ごろのことである。長兄を介して、先生と知り合うことができた。先生とは栄にあるホテルの地下のラウンジバーでお会いして、よく話をした。このバーへ、先生はほぼ毎日通っていた。 先生は戦前・戦後初期までに通算25…